2025.03.28
【沙里】
【黄金の儀式】—魂の再起動
この日は、いつも通りの日常的な調教を予定していた。
でもふと思い出したのは、かつて私が語った「朝一番の黄金をスプーンで一口与える、本物の奴隷契約の儀式」に憧れを抱いていたこと。
私は決めた。突然の「黄金の儀式」の決行。
準備など不要だった。なぜなら、彼はすでに心で何度もその瞬間をシミュレーションしていたから。
スプーンにすくわれた黄金が、静かに舌の上に置かれる。
私のタンを、それを迎える準備を整えるために一緒に与える。
彼は正座しながら、顔は硬直し、舌は震え、全身は静止し、ただ私の目をじっと見つめている。
でも激しく興奮しているようだった。
「ほら、待ち望んでいた“本当の姿”になりなさい」
できないのなら、待っているのは厳しい躾だけ。
選ぶのは彼自身。
それでも彼はただ私を見つめ、動けない。
だから私は、もう一度、静かに告げる。
「受け入れなさい」
沈黙のまま、時が流れる。
20分という永遠のような時間。
そしてついに─彼は意を決し、すべてを受け入れた。
その瞬間、涙が頬を伝い、腰元にしがみついてくる。
「その涙、なんの涙か説明しなさい」
けれど、私はもうわかっていた。
それは─
「本当の自分に出会えた歓び」
「心の奥底に閉じ込めていた願いが、初めて認められた感動」
「存在そのものを、丸ごと肯定されたという震えるような安堵」
それを、“愛”と“解放”と呼ぶのだと思う。
これは、ただの命令ではなく、“支配”と“覚醒”が共存する、崇高な儀式。
「あなたは、そこまで深く、渇望していた存在なのだ」と認め、導いただけ。
これは、主従という形を借りた—
魂の再起動。